何が正義で、何が悪なのか?     Revolutionvol.12  02/10/21

 このあいだ、テレビのニュースで、インタビューを受けていたイラクの若者が、「将来何になりたい?」という問いに「空軍のパイロット」と答えていた。「アメリカに復讐できるから」というのがその理由だった。彼はなぜそこまでアメリカを憎むのだろうか? REV12B.JPG - 21,093BYTES
右の写真にうつっているのはイラクの子どもだ。この子は、白血病で腹水がたまって手術を受けた。こちらを凝視するこの子の目は、ボクたちに何を訴えているのだろうか?
イラクでは、1991年湾岸戦争の42日間におよぶ米軍の爆撃によって数十万の人々が殺された。その後の12年間の経済制裁によって、医薬品が不足し(アメリカが化学兵器の材料になると言って輸入を制限した)、150万人が死に追いやられた。湾岸戦争のとき米軍が使用した劣化ウラン弾(一種の核兵器)がまき散らした広島型原爆の数万倍に及ぶ放射能の影響で、生まれてくる何の罪もない子どもたちが白血病やガンで苦しめられている。
「イラクの人々は、この現実をずっと訴え続けてきました。問題は、私たちが彼らの声を聞こうとしているかどうかなのです」
この写真を撮影したフォト・ジャーナリストの豊田直巳氏はこう言っている。
ボクたちの社会では、ブッシュや小泉ら体制側の主張を聞く機会はいくらでもある。でも、イラクの人々の声を聞く機会はどれほどあるだろうか? 
マスコミを通して流される情報は、体制側の立場から見たものが多すぎはしないか? 
しかもそれが「中立」「客観的」と言われ、上の写真のような現実を伝えることは「かたよっている」と見られていないだろうか? 
「客観的な考え方」によれば、イラクの大量破壊兵器は問題だけれど、アメリカがもっている核兵器をはじめとする大量破壊兵器はそれほど問題ではないらしい。イスラム諸国の人々が「西側」の人間を傷つけることは「残虐」で「非人間的」なことだけれども、米軍がイスラム諸国の民衆を殺すことは「仕方のないこと」で「非人間的」なことではないらしい。そして今、アメリカがイラクを攻撃することが、「やりすぎ」かもしれないけれども「正義」として、まかり通ろうとしている。
このような現実を「おかしい」と言うのは「かたよったこと」だろうか? 戦争反対の行動を起こすことは「過激なこと」だろうか?みんなが沈黙していたら、そうなってしまうだろう。政府はそうなることをのぞんでいる。でもそれは、戦前の過ちの繰り返しではないのだろうか?

今、イラク攻撃を阻止することが全世界の共通の課題になっている  『Revolutionvol.12   02/10/21

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