だれだって、テロに狙われたくはない。
でも、なぜテロが起こるのかということを考えずには、テロ問題の解決はありえないのではないだろうか? でも、ブッシュは、なぜテロが起こるのかを考えようともせず、「テロリスト=全人類の敵」であるかのように言って、力でテロを押さえ込もうとしている。
そんなブッシュが守ろうとしているのは、「世界の平和」ではない(ブッシュは戦争によって多くの民衆から平和を奪っている)。
ブッシュが守ろうとしているのは、「アメリカの国益」だ。「アメリカの国益」と言っても、それはアメリカの民衆の利益のことではない。ほんのひとにぎりの金持ち層の利益のことだ。金持ちの利益のために、ブッシュは、昨年「ビンラーディンが隠れているから」と言ってアフガニスタンを攻撃して多数の民衆を殺し、今度は「イラクの大量破壊兵器がテロリストの手にわたることを阻止するため」と言ってイラクを攻撃し多数の民衆を殺そうとしているのだ。アメリカの心ある民衆は、ブッシュとは別の道を進もうとしている。9・11を受けて、アメリカの人々は、今までは他人事だった「死と破壊」の問題を、はじめて自分の問題として考えた。家族が殺されること、自分たちが住んでいる町が破壊されることの悲しみ、怒りを初めて実感し、今までアメリカが踏みつけてきた国々の民衆の悲しみ・怒りに気づいた。
ところが、ブッシュや他の政治家たちはそんなことにまったく気づかなかったし、考えようともしない。そして今までと同じように、世界の多くの国の人々を踏みつけながらもうけ続けようとしている。だから、アメリカの民衆は、「政治家に頼ることはできない」「自分たち自身にしか頼ることはできない」(前に紹介したANSWERのメッセージ)と言って、自分たちの力で戦争と差別のない新しい社会をつくりだすために行動を開始したのだ(ANSWERという名前は、「Act Now to Stop War & End Racism」〔戦争を止め、人種差別を終わらせるために、今行動しよう〕というスローガンの頭文字でできている)。
同じような動きがヨーロッパでも始まっている。日本の民衆はどうするのかが問われている。ボクたちは、政府と同じようにブッシュを支持し、イスラム諸国の人々を殺す「対テロ戦争」に協力するのか?―その先に未来はあるのか?それとも、戦争と差別のない社会をつくりだすために行動を開始したアメリカやヨーロッパの人々と連帯して、戦争の道を進もうとする自国政府に反対し、自分の命とひきかえにこの世の中の不正を告発し続けるイスラム諸国の人々との対話をめざすのか?後者の道を進むべきではないのだろうか?